2017 UX KANSAI #01 ブートキャンプ

おかげさまで今年のUX KANSAIは35席が満員御礼で「スタッフの席ねぇから!」状態。

初回はHCD/UXDについての知識&技術についてのお話は少な目ながら、「学ぶ姿勢について学ぶ」ような本質的なテーマだった。この後の一年間学んで単なるワークショップ体験で終わるか、経験として骨肉化できるかの分かれ道になるくらい重要。

振り返ってみて私がUXデザインセミナーで学ぼうと思った動機も、本を読んで知識&技術を身に付けたつもりなのに、再現よくアウトプットが出せない不十分さを感じたから。何か足りない感じを「スキル=知識&技術+判断」という説明が言い表してくれた。

自分の判断力は棚に上げて、「判断」を軽んじた環境に囲まれていることもスキル学習の弊害だと思う。デザイナーの仕事に「ちょっと考えただけでこんなにお金とるの?」と反応する風潮があるのも、スキルではなく拘束時間に対して対価を支払う発想が前提があるからでないか。まずはスキルを習得する以前の話として、スキルという尊いものが在ることを理解していたい。


先に言ってくれたらいいのに?

チームビルディングのワークショップの中で、ワークショップを進める作法についても学んでいる。これは、総力戦でデザインする時代の共通言語とも言える。

過去に受講生としてワークショップに参加して講師からお叱り(?)を受けた際に、正直「それなら先に言ってくれたらいいのに!」という気持ちが湧いたことを思い出した。←これを一年越しで思い出すくらいのトラウマさは必要悪なのかもしれない。

今回、改めて聞いてみると、講義の中で「実は先に言ってたんだ!」という事に気付いたし、言われてなお実践できない様子も目の当たりにした。

例えばタイムキープするよう釘を刺された直後は、どのチームもタイマーを仕掛けて取り組んでいたけれど、その次の次くらいのワークショップになるとタイマー仕掛け率がガクッと下がる。
言われた後でさえ充分ではない。身体に染み付いて、タイムキープされていない状態が気持ち悪くなるくらいまで発達しなければならない。

また、講義の中で「考えることは作業だ」「手が止まったら何も考えていないのと同じ」ということを先に話されている。でも、行き詰まって「う~ん」と考え込んでしまう。初回だし行き詰まるのは当然ではある。

みんなが意見を出しながらポストイットを使ってしっかり外部化しているチームもあって凄い。経験者だろうか。
最初に議論の進め方についてのメタ的な意思決定をして、各自が意見をどんどん外部化して発散させ、あらかじめキープしておいた時間が来たら収束に向かって全員で付箋を移動させ、時間内にアウトプットを出す。ここまでを全員が手を動かしてできれば理想。


スタッフって何してるんですか?

受講者として参加時にスタッフを見て疑問に感じていた「スタッフって何してるんですか?」を質問されてしまった。

会場では備品(スパゲッティー、マシュマロ、ペン、付箋)を配ったり、写真をコミニュティーに投稿したりしている。裏ではビアバッシュ準備として、ケータリングやドリンクの業者を駐車場まで迎えに行ったり、足りないものを買い出したりしている。

事前準備をする男達には、硬いスパゲッティーを調べたいのにググると茹で加減ばかりヒットするなどの苦労があった(備忘録:ディチェコ 1.9mmが正解)。

我々もまだ修業の身のため、セミナーの様子を客観的に観察しながら概念化を試みている。自立できないくらい高いタワーを狙って自滅するチームの観察からも学びはある。

スタッフがたくさんウロウロしているのは気が散ったかな。でも、参加者同士も偵察し合って良いし、時には「なんでそんなことやってるの?」と突っ込んでも良い。

もしお役に立てるなら、TAのように立ち回りたいけれど、そこまでのスキルはあるんだろうかと自問自答する。
参加者のグラレコが講師BLOGで紹介されていて、自分達も出来れば素敵とは思うのだけど、ゴリゴリの技術者としてやってきた私がお見せできるレベルでは描けないよなと思う。

見学に来てくれるOBもいて、何か関わりあえればコミニュティーとしてグッと面白くなってゆきそうな気はするのだけど、こちらについても模索中といったところ。


主体性を引き出すチーム分け

けっこう難しくこねくり回したけれど、「チーム分けなんて適当でいいんだよ」が答えだった。

今回は途中でチームチェンジがあった。途中からチームを固定するので、それまでの間は熱い鉄を焼きなますように最初は流動的に変えてゆきながら相性の良いチームを探す。
他人から与えられたチームだという言い訳をなくし、自分でチームを決めたからには主体的に取り組む姿勢になることに意味があるようにも思えてきた。
壁に張り出してメンバーどうしをトレードする方法だと、トレード先の誰かを押しのけることになるので、いったん全員をはがして自分の名前を張りなおした方が良かったか。

何人かにヒアリングした中には「他のチームで発表していた様子を見て、自分に足りないものを持っているから組みたいと思った」という話が聞けたのは良かった。

足りないビアバッシュ

立食パーティーの料理は常に余りがちなところ、今回は少なめに発注した。これでもかとボリューム感を出す揚げ物でなく、あっさりめのノンフライオードブルを少量発注。

ビアバッシュで交流を深めるというゴールを疑い、途中で「ビアバッシュの料理がなくなるまでに二次会に行く人を探す場にしてください」と促した。

オードブルも食べ切れたし、お腹が物足りない参加者同士が「二次会行くぞ!」と誘い合わせて街に消えていった。今年のUX KANSAIも頼もしい感じがする。

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